西彼杵郡時津町・8工区。大村湾沿いに工場が立ち並ぶ工業団地の中に中野鉄構株式会社はあります。
主に半導体製造装置や、工場の製造ラインの自動化などに使用する自動搬送装置、建設機器などを製造しています。8工区の本社を中心に部門ごとに全9拠点あり、溶接や板金といった金属加工から塗装、組立まで自社で一貫した生産体制を構築しています。
今回は同社で勤務する梅木さんと、取締役の武田さんにお話を伺いました。
――まずは梅木さんの高技専時代について教えてください
梅木さん 高校を卒業して、高技専の溶接技術科に入校しました。高校では機械科でしたが、溶接の経験はありませんでした。
溶接技術科は1年課程ですが、その中で取得する資格が私のときは10種類あり、その勉強と実習でとても忙しかったのを今でも覚えています(笑)
――梅木さんの職場での働きぶりはいかがですか?
武田さん 梅木くんには組立部門で、装置の組立業務を行っていただいています。
私達の会社で製造している装置は、半導体製造や自動車製造などに使用する、非常に精度が要求される装置です。小さなホコリの混入も許されません。そこで、梅木くんにはクリーンルーム内で搬送装置や産業用ロボットの組立業務を行ってもらっており、同部門のリーダーとして、後進の育成にも取り組んでもらっています。
――溶接から組立にシフトした理由は?
武田さん 梅木くんには入社当初は溶接を行ってもらっていましたが、丁度同じタイミングで会社で組立部門の立ち上げが重なりました。
組立部門では、まず図面が読めないといけない、クレーンを扱えないといけない。そう考えたときに、高技専でしっかりと訓練を受けて、図面も読めるし、クレーンの資格も持っている梅木くんに白羽の矢が立った、という理由です。
社内に幅広い工程がある中野鉄構株式会社。
高技専の修了生の“基礎力”が、社内での活躍の場を広げています。
梅木さん 高技専の訓練の中で、クレーン運転業務特別教育修了証を取得していました。
仕事をしながら資格を取得しようと思うと、時間的にも大変です。訓練の中で資格を取ったことで、配属後早い段階で戦力になれたことはよかったと思います。あとは、自由研削といし取替等業務特別教育修了証なども持っててよかったな、と思いますね。
武田さん 私達の会社では普通高校を卒業して入社している社員もいますが、最初の基礎教育は本人はもちろん、教育担当の社員もなかなか大変です。
高技専の修了生はしっかりとした訓練の中で知識・技能・資格とベースがあるので、どの部門でも即戦力に近いような形で頑張ってもらえます。
もちろん専門分野ですので、高技専での知識や技能だけでは足りない部分もありますが、基礎がしっかりしているので、吸収も早いと感じます。
――最後に、武田さんから梅木さんの今後に期待することを教えてください
武田さん 今後はいままで以上にリーダーシップを発揮して、自ら考え行動できるよう、更に成長してほしいです。また、さまざまな経験を通じて会社全体を俯瞰して見ることができ、的確に判断できる人間力を更に磨いてくれると期待しています。
“なりたい自分”を目指しているあなたへ
梅木さんからのエール。
高技専の授業で取得する資格は、将来きっと自分の武器になります。訓練は大変ですが、いろいろなことを経験して、たくさん吸収してほしいと思います。
〈取材協力〉
中野鉄構株式会社
半導体製造装置、自動車製造ライン、FA向け自動搬送装置、建設機器、舶用エンジン、プラント関連ユニットなど、多岐にわたる分野での製作や組立・組配までを自社で一貫生産。柔軟で効率的な生産を実現し、お客様のニーズに迅速かつ確実にお応えします。