“SNSの映えスポット”として全国的に有名な諫早市小長井のフルーツバス停。1990年にその製作を行ったのが諫早市に本社を置く株式会社吉次工業です。
同社は1949年にはじめた左官業を源流に、現在では総合建設業として県内多くの建設に携わっています。今回はそんな同社で施工管理として勤める関さんと上司の川端さんにお話を聞きました。
――まずは関さんの高技専時代について教えてください
関さん 私は普通高校出身ですが、家が大工だったので、将来は建築に携わりたいと考えていました。進路として建築系の学校を探しているとき、部活の顧問の先生から高技専について勧められました。
入学金や授業料が無料であることや、いろいろな技能を習得できることなど非常に魅力的な条件が揃っており、建築設計施工科に入校し、2年次のコース分けで設計コースを選択しました。その後、訓練期間を終えて、こちらの吉次工業に入社しました。
――関さんは今どのような業務を担当していますか?
関さん 現在は建築の施工管理をやっています。建築工事の職人さんに指示を出したり、次の工程の予定を立てる仕事だったり、安全関連の掲示物を作ったりしています。
今はちょうど改修工事を担当しており、住民の方が住まれながらの工事になるので、工事内容の案内の資料を作ったりもします。
川端さん 建設という仕事は我々元請けがおりまして、その下に各専門の工事業者がいます。
発注者であるお客様から私どもにこういうものを作ってください、という相談を受けたら、業者間のとりまとめを私どもの技術者が行ないます。
建築工事の基礎から内装工事まで、事故なく安全に、竣工日までに遅れることなく工事を行えるように管理を行う、これが施工管理の仕事です。
――高技専修了生と一緒に働いて感じることは?
川端さん いま私どもの会社には4名の高技専出身の社員がいます。彼らを見ていて思うことは、高技専の修了生は例えば工業高校の建築科を卒業して入ってくる方や専門学校を経て入社してくる方とは、仕事に対する意欲が違うんですよね。
就職を希望する高校生の中には「よく分からないけど、とりあえず就職しないといけないから入ります」みたいな感じの人が多いように見受けられます。
そういう方は入社後の自分の理想というか、「しっかり建設を学びたい」という想いを持って入ってきていない人がほとんどなんですよね。
だから、仕事上の難しい面に直面した際、自分に合わないと感じると、途中でも辞めてしまう。
その点、高技専の修了生は建築を勉強したい、ものづくりをしたいという強い意欲を持って、専門性を学んできて入社してきています。スタート時点の意欲が違います。
――最後に、川端さんから関さんの今後に期待することを教えてください
川端さん 建設業界は、大工さん、鉄骨屋さん、いろいろな業種がいますが、職人さんは自分の技術に誇りを持っています。そういう人たちと協力しながらものづくりをする中で、やはりコミュニケーション能力は重要です。
また、お客様からいただく予算の中で、自社の利益を確保しながら、協力会社に分配をしなくてはいけない。そういう原価管理についても今後もっと経験を積んで覚えてほしいと思います。
現場を上手に回して、良いものを作り上げる。それが現場担当者の手腕です。
そのためには必要な資格をしっかりと取得して、すばらしい技術者になってくれることを期待しています。
“なりたい自分”を目指しているあなたへ
関さんからのエール。
建築設計施工科では、建築のことも設計のことも学べます。私は設計の道へ行きましたが、建築をやったおかげで職人たちの気持ちも理解できます。高技専で得たささいなスキルでも、社会に出て役立つことがたくさんあります。
スキルも資格もたくさんチャレンジして、自分の目指す進路に向かってください。
〈取材協力〉
株式会社吉次工業
株式会社吉次工業は、長崎県諫早市の総合建設業です。1949年に左官業として創業して以来、建築・土木一式工事を中心に、地域に根差した会社として安全かつ、高品質な技術とサービスをお届けします。